< ブランデッド・ミュージック・キュレーション : スペシャルケース > CREATORE with PLUS × Nippon Rediffusion Limited 音楽で空間ブランディング対談

CREATORE対談

恵比寿ガーデンプレイスに新しくオープンした「自分らしく働く」がテーマの家具ショップ&ショールーム「CREATORE with PLUS(クリアトーレウイズプラス)」様の空間ミュージックとして、プレイリストを手がけました。

厳選された家具にふさわしい音楽が流れる空間となった現在、ここに至るまでの制作過程を全体ディレクションを担当されたプラス株式会社ファニチャーカンパニーの野中様と弊社の制作担当の小島で対談させていただきました。場所は、「CREATORE with PLUS(クリアトーレウイズプラス)」を運営するプラス株式会社ファニチャーカンパニー様の恵比寿ガーデンプレイスの新オフィス。スタイリッシュでさわやかな風が通り抜けるスペースで、クリエイティビティあふれる会話が交わされました。

「キーワードしか伝えられなかった…。なのに、想像以上の完璧なプレイリストに!」

小島:素晴らしいオフィスですね。社員の皆さんがそれぞれの働き方に合わせて席を選べるうえ、集中できるブースがあったりカフェスペースがあったり。羨ましいです。クリアトーレのショップ&ショールームにも、デザイン性が高く、座り心地の良さそうな椅子やソファがあり、自分の家に置きたいと思いました!
今回のプレイリストづくりでは、たいへんお世話になりました。完成するまでの野中さんとのやりとりは、今でも記憶に新しく、何しろ楽しかったなと思う時間でした。

野中:こちらこそ、ありがとうございました。パーフェクトなプレイリストで、スタッフみんな、喜んでいます!
2018年の新作家具の発表会で、展示会用の音楽をキュレーションいただいた時から、レディフュージョンさんの丁寧なヒアリングや予想以上の出来栄えに満足していたことや、「音で空間をブランディングしていく」アイディアに共感できていたので、今回もレディフュージョンさんなしでは考えられませんでした。
ただ、その時とはまるっきり違う空間で流れるプレイリストであり、しかもショップ&ショールームが完成していない状況での依頼でしたから、キーワード的な「言葉」だけしかお伝えできなかった…。なのに最高の仕上がりで、さすがプロフェッショナル!と思いましたよ。

CREATORE対談

小島:ありがとうございます! 野中さんがしっかりとブランドイメージやコンセプト、キーワードなどをお話ししてくださったので、どういった音楽を流したいかが伝わり、音楽コンセプトのイメージが湧きやすかったからですね。

野中:「クリアトーレウイズプラス」は東京で初めての店舗となります。ですから「お客様がリラックスして家具をご覧いただける」「家具をご覧いただくお客様の気持ちに寄り添うもの」「空間の上質さを醸し出すもの」など、これらのイメージに合うテンポや曲調がとても大事だったのです。
妥協はしたくなかったのでいろいろとお伝えさせていただきましたが、要望した点はすべて見事にクリアしていただき本当に感謝です。

CREATORE対談

コンセプトは最初のサンプル楽曲がきっかけ

小島:そう言われると嬉しいです。しかし当初は、今店内で流れているコンセプトとは異なるヨーロッパジャズというジャンルを提案させていただきました。「高級感」「落ち着いた雰囲気」「ナチュラルリッチ」といった言葉が僕の中で響いたので、ジャズにしよう!と思ったからです。
ジャズはアメリカにもヨーロッパにもあります。アメリカのジャズは、少々泥臭い感じやファンキーなサウンド。一方、ヨーロッパのジャズはクラシック音楽が土壌となっているため、洗練されたサウンドや美しいメロディーが特色です。
今回は来店したお客様に寄り添うような優しい音楽だと思い、まずはヨーロッパジャズのインスト曲だけのデモプレイリストを提案させていただきました。

野中:それはそれですごく素敵でした。でも、お客様目線で言うと少し不安になる感じがしたのです。誰もが知るショップで流れていたら、かっこいいな~と思ってもらえるかもしれませんが、クリアトーレはまだそこまでの認知度がありません。
なので、もっと優しく温かみのある音が欲しいかもと思ったのです。このデモ曲をご提案いただいたからこそ、こうしたイメージを沸き立たせることができました。そして店内の別エリア用にご提案いただいたアコースティックなプレイリストがショールーム全体にピッタリと感じ、そちらをベースに作っていただくことに決めることができたのです。

小島:野中さんのお話は、毎回大きなヒントになりましたね。アコースティックといっても、さまざまなジャンルがあります。ジャズ系もあれば、フォークやニューエイジ、オルタナティブポップなど。そこで、平坦なプレイリストではなくいろいろなものを組み合わせて飽きのこない曲構成を考えました。
そして、お客様に「ゆっくり見ていきたいなぁ」「また足を運びたいなぁ」と感じてもらえることや、同じ空間で1日中働いているスタッフの方々を飽きさせないようすることを考えたのです。

野中:確かに、毎日聴いていても絶対に飽きないと思える曲は、何曲もありましたね。参考曲をいくつもいただきましたが、これらを使わないのはもったいない、どこかで使いたいと思うほど、どれもよかったです。
ですから、何度も聴き直して、「これはやっぱり削って、あれを代わりに入れてください」「高いキーのピアノ曲は少し鋭すぎるなと感じるのでほかに何かありませんか?」「この男性ボーカルの声のトーンはすごくいいので絶対欲しい」などたくさんご相談しました。
その度にいただける参考曲で、クリアトーレに合うテンポが決まっていき、男女問わずボーカルのタッチやスパイスの効かせ方、エッジの種類なども決まっていきましたね。最終的にクリアトーレのブランディングを音楽という点で非常によくまとめていただいたと思います。欲しいものをぎゅっとキュレーションしていただけ、嬉しかったです。

CREATORE対談

キュレーションのコツ? 「それはブランドイメージをしっかりつかむことです。」

野中:しかし、どうやってキュレーションするのか不思議です。画像であればサムネイルを見てピックアップすればいいことですが、音楽は一つひとつ試聴しないとわかりませんよね。小島さんの頭の中には、音楽が全部入っているのですか? 明るい感じだったらこのアーティストなど、全部インプットされているのでしょうか? どう制作するのか教えてください(笑)

小島:今までにいろいろな音楽をたくさん聞いてきましたので、音楽が収められた引き出しは数えきれません(笑)。いくつもの引き出しを開けては閉じてを繰り返しながら選曲します。
キュレーションのコツは、ブランドイメージをしっかりつかむこと。それしかないと言っても過言ではありません。
野中さんからいただいた言葉やキーワードを元にして、想像を広げるためにヨーロッパの家具を画像検索するなど、僕なりにイメージを膨らませていきました。
そして、自分がお客様になってみて、店内に入った時にどんな音楽が流れていたら心地良いか、どうすればまた来店したいと思うか、またプロとしてクリアトーレさんのブランドイメージを音楽によってどのように貢献できるか───。想像して考えてアイディアを生み出してと試行錯誤の連続でした。
世界に一つだけのプレイリスト、どこのブランドも使えないプレイリストです。野中さんがおっしゃっていた「妥協したくない」という考えは僕も同じでしたので、引き出しをフルに開けて選曲しました。
選曲すると言う責任、プロとして仕事を全うするという意欲から、全力で引き出しを活用し制作しています。音楽が大好きな僕にとっては、とてもやりがいのある価値ある時間でしたよ!

すべての選曲には必ず意図がある

小島:でも、野中さんも形のないものを伝えるのは、難しかったのではないでしょうか?

野中:けっこう楽でしたよ(笑)。思いのままに伝えることができましたからね。例えば、「この曲の全体はいいけど、この部分がちょっと気になりますね」など、思ったことはすべて話させていただきました。
それに対して、小島さんは「やっぱりそうでしたか」とすぐにポイントを理解してくれるので、会話がとてもスムーズ。ストレスのないやりとりができるのは、本当にありがたかったです。
特に感激したのは、的確な答えが返ってきた時。多くの人が知っているようなアーティストや楽曲をプレイリストに加えるのはどうなのだろうか?と思い質問したら、「全く知らない曲だけもいいですが、なんとなくでも聞いたことがある曲が流れると安心感が生まれますよ」と言ってくれた時は驚きました。

CREATORE対談

小島:音楽はものすごい曲数があります。メジャーではない曲は新鮮な気持ちにさせますが、メジャーな楽曲は多くの人が知っており、馴染みがあるので安心感を与えます。

野中:依頼主が気乗りしない曲なら、それを削除するのが簡単なのでしょうが、小島さんはプロとしての視点をきちんと教えてくれるので、すごく納得ができ、信頼感が高まりました。

小島:すべての選曲には必ず意図がありますからね。

CREATORE対談

豊富な楽曲数と揺らぎ幅が魅力のプレイネットワークで、精度の高いプレイリストを制作

小島:今回のプレイリストは、パートナーであるアメリカのプレイネットワークの音源を使っています。
プレイネットワークはシアトルを拠点に、全世界のグローバルブランドに対して音楽のキュレーションをしている会社です。
メジャー楽曲のみならず、インディーズの曲もたくさんあるので、日本ではあまり聞きなじみのない楽曲も多いのが特徴で、バラエティに富んだ楽曲の選択が可能です。
斬新でスパイスの効いた楽曲から、オーソドックスなクラシックな楽曲までさまざまな選択肢を持っています。これがどこにもない精度の高いプレイリストを制作できる弊社の大きな強みなのです。

野中:なるほど! 初月のプレイリストは全部聞きましたが、翌月のプレイリストは全部聞けていないので、今度ショップで仕事をしながら1日中聞きたいですね。心地がいいので仕事がはかどりそうです。
実際にご来店いただいているお客様からも「心地いい」「素敵な曲ですね」とお声をいただいているんですよ。

細胞が動く音楽ーそれが日本レディフュージョンが作るプレイリスト

野中:音楽は感じるものですよね。流れていても何も感じないのでは音楽じゃありません。レディフュージョンさんが作る音楽は、細胞が動く感じです。
完成品はもとより、参考として送られてくる楽曲も想像を超えたものばかり。どこまでもプロフェッショナルな仕事ぶりで、期待以上のことをしていただきました。有名な企業さんとの取引など豊富な実績と、以前の素晴らしいプロダクトがあったので不安はありませんでしたが、やっぱりお願いしてよかったと改めて思いました。
堅実に実直に良い仕事をする職人気質の集団、レディフュージョンさんと一緒にチームになって、モノづくりできた感じです。

小島:ありがとうございます。すごく嬉しいです! 最初は手探りでしたが、野中さんの率直な意見や感想から選曲の幅が広がり、一丸となってプレイリストを制作できたと思っています。これからも一緒に作っていけたら光栄です。

野中:こちらこそ!クリアトーレは進化していきますのでこれからもよろしくお願いします。
働く環境においても音楽は五感に影響を与えるもののひとつです。それが大切にされていく取り組みを一緒にしていきたいですね。

小島:いいですね。ぜひ、お願いいたします!

<終>

CREATORE with PLUS

『My wardrobe(マイワードローブ)』をコンセプトに「自分らしい働き方」がきっと見つかる、をテーマとしたショップ&ショールーム。お客様のこだわりに寄り添い、”創造力”をかき立てるデザイン性の高いアイテムの数々で「自分らしく働く空間」をスタイリングできる。上質な海外ブランド家具や在宅ワーク向け家具、照明器具、カーペット、アクセサリーが揃う。2022年11月8日に恵比寿ガーデンプレイスセンタープラザB1階にオープンした。
https://kagu.plus.co.jp/creatore/

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  • 野中由美子 氏

    野中由美子 氏

    プラス株式会社ファニチャーカンパニー
    執行役員 営業本部 副本部長/クリエイティブ事業部 事業部長

    大手情報サービス会社、インテリアデザイン事務所を経て2006年にプラスに入社。オフィス・施設・住宅を中心にインテリアデザイン/デイレクションを行う。座席予約システムSuwaryを立上げ、ハイブリッドワークにおけるソリューションを推進。今回の恵比寿ガーデンプレイスへのオフィス移転ならびに「CREATORE with PLUS」のオープンにあたり全体のディレクションを行う。

  • 小島凌哉

    Ryoya Ojima

    日本レディフュージョン株式会社
    コンテンツ事業部 ミュージックディレクター

    5歳の頃から音楽教室に通いエレクトーンを習う。高校卒業して上京し、尚美ミュージックカレッジ専門学校を卒業。現在は主にブランド向けの店内BGMプレイリストの提案や百貨店のBGM選曲業務を担当。趣味では、エレクトーンの演奏活動や朗読劇・水族館ショートムービーなどへの楽曲提供・アレンジ活動を行なっている。